2011年7月31日日曜日

ガルデルの全レコードCD化される(CD-1;1~5曲目)

ガルデルの全録音されたレコードが50枚のCDとして発売されて,動画としてyoutubeにて観られる。そこで99年前に録音された彼の最初になる,一枚目のCDから詞の内容を要約してみた。
このCDは昨年10月に歴史的最初のSP盤として簡単に紹介したが,ガルデルがタンゴ歌手として有名になる以前の隠されたフォルクローレの世界に生きた彼の姿を覗かせてくれる。これは彼のルーツを定める一抹の光の行方さえもが見えてくる。即ち,ガルデルが生きた少年期から青年までの,この世界そのものが彼の模索した知らざれる,誕生地ウルグアイへと行き着くのである。

CD-1(1~5曲目)

①:ソス・ミ・ティラドール・プラテアード(お前さんは俺の銀ベルト)/エスティーロwww.youtube.com/watch?v=kpr0ok9khzR8
作者:フアン・トローラ(ガルデルの従兄弟、本名フアン・グァルベルト・エスカジョーラ)ガルデルは初めこの曲を“アケル・ティラドール・プラテアード”呼び、カルロス・エスカジョーラ・メディーナ(実父とされる人物)の作としていたらしいのだが,真実はウルグアイ国バイサンドゥー出身の詩人オスカール・オロスコの作品である。

“Estamos en el pintado/我々はそっくり
con la tropa en pastoreo,/放牧されている家畜と
porque el paso esta muy feo/それは道の余りにも酷い
y aqui me tiene embretao,/そして,ここは俺を柵にのなかに押し込めた,
Te escribo sobre el recao/伝言としてお前に託す
tan solo por noticiarte,/唯一つ通達するため,
donde me encuentro、y pa`hablarte/俺に出会う処で,そしてお前と語るため
de aquellas cosas queridas,/あの出来事の愛しき事ごと,
Pa’ que veas mi fino amor,/我が優美な愛しき人に見て貰うために,
con todo esmero y primor/細心とすべての気遣いと共に
que he dejado alla perdidas/あの放蕩の気だるさ
al tener que abandonarte./”お前を置き去りにしなければならず“, 

②:ジョ・セ・アセール(俺は成し遂げる)/シフラ/
作者:カルロス・ガルデル‐アンドレス・セペダ/
セペダの詩“ア・エルナンデス”にガルデル自身がオリジナルに創作した曲。
この曲は若きガルデルの最良な作品ではないだろうかと思われる。

"Dijo Hernandez con razon”/エルナンデスは理屈どうり
en criollado lenguaje/クリオジャなまり喋りで
es el nudo que lo fajen/ベルトを結んで
del que nace barrigon,/なんと太鼓腹が生れ

Y cuernante con razon/そして,[クエルナンテ]は理屈どうりに
no creo el osado lenguaje/破廉恥なことばは信じない
salido de los papel(es)/紙片から飛び出しの
del que nace barrigon,/なんと太鼓腹が生れ

Soy de los mesmos crios/俺もそだち盛りとお同じもの
golpiao al tanto comprender/叩かれた様に全く理解に苦しむ
esta falta de poder,/これは知恵が無い
esta escuela no es sentido/この訓練所は感動しない
compararse al hombre escriba,/書きごとする男に比べれば,
en la fuente de saber ,/熟達のまえに,

Aunque nacido y criao/田舎生れと育ちとはいえ
en la escuela de sufrir/ここは苦悩の訓練所
me doy mana pa vivir,/生き抜く為の策を授けよう
como el hombre mas letrado./より悪賢い男の様に

Yo por trompiar he buscao/俺は一人学びの求めたて
ponerle a un pingo el apero/子馬を調教しあげ
y al avestruz mas ligero/鈍間をより敏速に
lo se en el campo boliar/野原を耕すそれもやる
tambien una res arniar,/牛を選びもする

注記:cuernante;クエルナンテと読むが意味不明(人とのあだ名か?)
 mesmos(メスマス,田舎風に発音している):mismosミスマスと同じ,
golpiao(ゴルピアオ,と田舎風に発音):glpeo(ゴルペオと同じ)叩くの意味,

この詞は田舎の牧場でのガウチョ達の日常作業、
投げ縄で牛を捕獲する、農具の操作、平坦な土地を耕す、
一頭の牛を畜殺する、子馬を去勢、溝を付ける、種まき、
収穫する、縄編み、荒地を身張り、毛の刈り込みと焼印をする、
家畜を懐ける、etc,,,と,
この様なガウチョの日常の仕事のそれらを詠い挙げている情景を謳い上げた詩。

③:ラ・マニャニータ(朝明け)/エスティーロ/ ガルデルは生まれつき自然に備えた天性的歌手の才能を現している。声が可なりか細く(当時の録音技術によるのではと思われるが?),おずおずとしている歌唱であるが、美しい歌声が栄えている。しかし,ベティノティー・スタイルのフレージング感化は隠せない。又、別にサウル・サリーナス、フアン、ペドロ・ガライ兄弟(クリオージョ歌謡二重唱の紹介者)の影響もみえる。

Quien avivo tu hermosura/おまえの美貌に興奮された誰か
es el de la pausa?,no./それはひと時の安らぎ?,違うかい。
Es el del atado lleno/それは,あふれつつまれ
Es el del del atado lleno/それは,それはあふれ包まれ
De mananita temprano/早々の朝あけの
cuando la luz fulgura/光がひらめくとき
yo no he visto mas lindura/よりかわいらしさは見とれない
hasta el pasto me enamora/芝生まで俺に惚れ込み.

La calandria seductora/魅惑のクロエリコ鳥
los jilgueros y zorzales/ヒワたちとツムギたち
son sus trinos sin iguales/それはかのさえずりすら同じでなく
van saludando la aurora,/会釈しながら曙に,
van saludando la aurora,/会釈しながら曙に,

En un palenque plantao/木柵へ打ち込む杭に
que a tres metros se levanta,/三メートル起き上がり,
que a tres metros se levanta,/三メートル起き上がり,
un jilguero que otro canta/ヒワに他がさえずり歌う
en la punta entusiamado;/熱狂せる子群れたち;
un corderito encerrado/閉じ込められた子羊
lama afligida a la oveja/苔如く悲嘆にくれた雌ひつじ
quede del sauce la queja/柳に残り嘆く
lo que el pampero lo azota/パンパ風が吹きつける
y el grito de la gaviota/それにかもめの騒ぎ
lo que al yagueli y se aleja/それが牛へ,そして遠のく
lo que al yagueli y se aleja/それが牛へ,そして遠のく

El carreron la gambeta/身をかわし走りすぎる彼等
hace de contar contento/喜びを話りかける
hace de contar contento/喜びを語りかける

Pero muy manso y cachaciento/しかし,遅くおとなしい
va en busca de la carreta/荷車をさがしに行く
una que otra martineta/一羽の,もう数羽のマルティネタ
vuela a la luz del cachorro/小狐の光へ飛び立つ
sale de la cueva el zorro;/狐の巣から飛び出す
queda en la puerta estitao/ひらけた入り口に立ち止まる
y el cacho canta tocao/ふれ歌う角
como pidiendo socorro,/助けを求めるように
como pidiendo socorro,/助けを求めるように

注記:
Palenque;camino de tablas,木の柵,木道;Yagueli;ジャグェリとはyagueneジャグェネの間違いか,(Zorrino) スカンク類をさすが,パンパの野生化した牛(animal vacuno)もこう呼ぶ, Cachaciento:lento,pesado,tardo,遅い,重い,遅れると言う意味,Martineta;マルティネタ;淡い黄色をした褐色の斑点がある40cmほどの大きさの鳥でパンパに生息する 。この歌もパンパの牧場の自然情景を表現したものである。

④:ア・ミ・マドレ(わが母へ)/アンドレス・セペダ‐ガルデル共作
この名自体が極く普遍なため、同曲であるか不明であるが、同タイトルの曲をルイサ・ロビーラは同レーベルに録音をしている。又、イグナシオ・コルシーニはビクターに録音した。ガルデルは1920年にタイトルを“ポブレ・マドレ”(18023B)として再録音した。

Ven lira bella y gloriosa/栄光と高尚の琴座来たれ
no me niegues tu armonia/お前のハーモニーを断らないで
dame con tu melodia/メロディーを授けたまえ
una inspiracion grandiosa;/華美なインスピレーション
tu que siempre bondadosa/常なる善良なるおまえ
fuiste con todo cantor/歌い手すべてと共に行き
no le nieguen un favor/好意を拒絶せず
a un alma abatida y triste/悲しみと魂打ちし枯れ
tengo madre y como existe/そして、生きるように母が居る
cantarle quiero mi amor./愛しき人に,讃歌を授けたく

⑤:メ・デハステ(捨てられて)/エスティーロ
原題:エル・ポンチョ・デル・オリビード(忘却のポンチョ)/この曲はガルデル作曲とあるが、オスマン・ペレス・ペレイラの曲に“ディビーノ・ポエタ・デ・ラ・プリション(聖なる牢獄の詩人)”と呼ばれたアンドレス・セペダの詩からの引用であるが、見事に彼風に完璧に処理している。極めて重要な事はガルデルがセペダ作品を発掘した功績を祟るべきだろう。ガルデルはこの詩を10年も前のペドロ・バルダサーレ氏の下で御者を務めた18歳頃からの持ち歌にしていた。

Aunque el poncho del olvido/かの忘却のポンチョだが、、、
sobre mi lomo has echado/肩の上に負いかける
los recuerdos del pasado/過ぎ日の思い出を
deben haberte seguido/お前の後追うべき
y como abrojo prendido/そして、ハマビシが絡みついたように
a cola de mancarron/老馬の尾に
has de ir en tu corazon/お前の心で行なうべき
siempre dandote un pinchazo/いつも一突きをあてがい
mientras mi nombre de paso/俺の名の行きずり合い間に
cruza tu imaginacion/お前の思い描きかわす

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