2015年7月10日金曜日

ガルデルの遺作



タンゴ「エボカシオン」
エボカシォンとは回想と訳すのだが.
若き日の苦き失恋の回想。
...
暖炉の炎のゆれと共に思い出した痛恨。
それを生々しく回想したタンゴ“エボカシオン”。

EVOCACION(回想)
La lama alientas en la chimenea /暖炉に鼓舞する金糸
y el crepitar de leÑas encendidas /火がついた薪がバチバチと音をたて
me atormentan con llagas de fuego /達する炎が俺を苦しめる
reabren en mi alma, hondas heridas /傷深く,わが心のなか再びあける
a llama loca corre y piruetea / 狂った炎は駆け回り,飛び跳ねる
y en el delirio de la noche oscura /そして,くらい夜の妄想に
reviven aÑos de intense amargura /強めた悲嘆は年々よみがえる 
que triste me acompaÑan en mi soledad /わが孤独に付きまわる悲しみ
Crepitan las leÑas, revive el pasado /過去が蘇えり,懲らしめがバチバチと音立てる
del fondo del tiempo como una vision /幻のような時の深みへ
y me trae el viejo perfume aÑorado /郷愁のふるき香りをもたらす
de la que fue un dia mi sola ilusion /影のみのわがある日がすぎ
crujen las leÑas, la llama agonize /きえうせかける炎,焚きつけが泣きわめく
mis manos persiguen aquella vision /幻のあれがわが腕を追う
en vano se alargan, no hay mas que cenizas /灰のみ残り,延びた空虚に
ceniza en las leÑas y en mi corazon/わが心にはまきの灰
Leve la estrella de tus claros ojos /きみのさわやかな瞳の輝やぎ微か
diafana luz de sempiterna andanza /旅の永遠の光は曇りなく
que en las rutas de mis aÑos mozos /わが若き年の道筋に
fue mi suspiro, fue mi esperanza /わがのぞみ,わがためいき過ぎて
ahora mi senda llena esta de abrojos /我の行く道は茨満ちた今
mi vida mustia ya no tiene llantos /もう涙撒かれて萎れるわが人生
y el corazon zozobra de quebrantos /そして,衰えの不安心
de verme indigno de tu inefable virtud /言葉絶する高潔な貴女の相応しからぬ眼差し
このタンゴはガルデルがビクターに最後の録音をした後に現われた曲で,彼はレコード録音しなかった。いや,ニューヨークに戻れぬ不可抗力により歌えなかったタンゴである。作詞は当然,アルフレッド・レペラ,作曲はカルロス・ガルデルでテリグ・トゥチィが協力参加している。この曲は1960年タンゴ歌手のアルベルト・バルディがロペス・バレート等とニューヨークを訪問した際にコロンビア・ブロードキャスティングのディレクターであったピアニストのマエストロ・テリグ・トゥチィに巡り会ったのだが,その時彼曰く「これは我々の幼稚な考えだが聴くに値する。この楽譜はバレートに託すのが相応しいと俺は確信するが,ガルデルもこうあって欲しいと思ったに違いない。」とそのタンゴの楽譜をラファエル・ブロウンに見せた。彼ブロウンは“この死後の作品”は本物かどうか疑わしいと考えた。ロペス・バレートはアルフレッド・レペラの弟ホセに聞けばと助言してくれたので,彼ホセに訊ねた所,彼は確かに兄とカルロスは何らかの作品の試案を持っていたらしいと言う答えであった。このタンゴ“レコルダンド(思い出す)”或いは“エボカシオン”は流布されていないと思われたがアグスティン・イルスタの歌う“エボカシオン”のタイトルの録音がデッカ・レベールに存在するのが判明している。
https://youtu.be/LVUL5bY9g-Q

ガルデルを助け様と

1935年6月21日、
ボゴタにて、
ガルデルへ旅立ちの前に
カリ行を止めろと忠告した
人物がいた。...
運命の預言者現れる。
(もう一人居たのだが)

では映像の説明に入ろう。
「この工場は
ナリーニョ劇場の後だが、
ガルデルが事故に巻き込まれる
3日前に歌たつたところだ。」
その劇場の前に、通りかかるガルデルの前に
突然現れた人物は…
ロベルト:おい、おまえは死ぬぞ、死ぬぞ!
カルロス、俺の忠告を聞いてくれ、
おまえさんに言いたくないのだが、
カルロス、カルロス、行くなよ!
ブエノスのみんながおまえを愛しがってるぜ!
俺とブエノスアイレスへ帰ろうよ!
カリには行くなよ。
事故に遇うからな。
カルロス:俺は行く、行くべきなんだよ。
俺は歌うべきなんだ! ぜつたいに歌うぞ!
以上が画像の会話の内容であるが、
”カリに行くな”と忠告している。
何故、メデジンではないのかと疑問が湧くが
ガルデル一行はボゴタからカリ市の
ホルへ・イサック劇場で公演する予定
だったのだ。
https://youtu.be/jdWNsvEEBP4

2015年6月24日水曜日

タンゴの日とカルロス・ガルデル

タンゴの日とカルロス・ガルデル
今日12月11日は「タンゴの日」
この日はタンゴ歌手界の最高峰人物である
カルロス・ガルデルの名誉を讃える日である。
...
「タンゴの日」は足で表現していた古きブエノスアイレスの
タンゴ時代に彗星のごとく現れた カルロス・ガルデルが
この単純な音楽に稀に見る美声を駆使し、歌に生命力を
与える解釈を付けた功績は高い。

 ところでいろいろな説があるが、世に知られている
生年月日は1890年12月11日とされているのだが、

この日はガルデルの本当の誕生日ではない。
彼ガルデルがコロンビアで魔訶不思議な飛行機事故で
命を落とした後にアルゼンチンからメデジンに来た
彼の財産管理人アルマンド・デフィーノなる人物が
偽造したガルデルの遺言書に書かれた日付けである。

 遺言書は手書きで書かれており、ガルデルの
サインまであるが一目見れば偽造されたと明白する。

 それは本人の筆跡とはまるで違う汚い殴り書き
の上にサインもガルデルの筆跡に似せているが
専門家でなくとも偽物と判明する。

 書かれた日付けは1933年11月7日とあるが、
不思議にもこの日はガルデルがフランスに旅立った日。

その前日にモンテヴィデオ郊外に購入した土地の
公正評書や自家用車を友人レギサモに譲る名義書き
換えにデフィーノと公評役場に届けをだしたにもかかわらず、

この遺言書には正規の手続きをした形跡がないのである。
さて、彼カルロス・ガルデルの生まれた日は自身が

ブエノスアイレス在ウルグアイ領事館に届けた日は
1887年年12月11日にしてある。

 1933年の誕生日に49歳になつたと友人達に白状して
いるので1884年生まれが正しいのではないか。
ウルグアイ人の伝記家は1881年11月21日生まれだと
記録を残している。

しかしながら、真実は誰も知る者はいない。

オラシオ・フェレール作詞
ファブラ・パラ・ガルデル(ガルデルの為の寓話)」
を追悼の意味でここに捧げる。

きのう、初めて...お前は俺に尋ねたよな、

わが子よ。誰だい、ガルデルて奴は、幽霊のようなあいつ。

頑固なまでに、

ほこりまみれのレコードにうずまる洞窟のなかのベールの淵に。

あまりにも気難しそうな奴。

俺の知る彼は、お前に語ろう。

お前の親父と少しばかり話そうと、

半きちがいの,

半おどけの、

お化け野郎が。

悲しみにあふれた夜の、お前の夢の中に、

隠れたあいつが、マテ茶を回す如きあらわれる。

あゝ、かすかなエレガントな幻覚な姿が見えればの話だが、

彼を知るためには、マント襟たて勇ましく、

羽根飾りネックと軽いネッカチーフをなびかせ、

彼の装いはスペイン・ギターの弦編み、

それは邪悪な魔女的ヒッピーが織り込んだ衣装をまとう。

ネクタイはかがやくカーネーション色、

鈴のような声で羽織り、

至極素敵な靴を履く、

それは靴ではなく旅する天国へ、

 

何処からこの世に来たのかい? 

でも、俺のはしらないぜー!

 誰かが語る故によると、

ともかく、

南に狙いつけた乙女ヴェレタによじ登り生まれたようだ。

そして、どんな詩人の,

そして、一輪の闘鶏、

そして、占い僧官、

教えられた生きる道と微笑み、

 

歌う、歌う、七色声で叫び歌う、永遠に歌う、
その喉で、二つの瞳、芸達者に、
見定めた男としての、持ち前の謙虚なスタイルで、
お前に言おう、彼の歌スタイルは、
どこからか湧き出る清い泉、
タンゴ野郎がまだ歌わない、
語りつががれた何もない過ぎ日のあのタンゴ時代、
ときはすぎ、

 

きのう、初めて...お前は俺に尋ねたよな、

わが子よ。誰だい、カルリートスて奴は、
幽霊のようなあいつ。

頑固なまでに、

ほこりまみれのレコードにうずまる洞窟のなかのベールの淵に。

あまりにも気難しそうな奴。

俺の知る彼は、お前に語ろう。

ガルデル、ガルデル、ガルデル...