2011年7月27日水曜日

アルメノンビジェでの出来事(1 )

1913年12月28日:フランシスコ・タウロにマダム・ジェネッティーの“怪しき家”でのパーティーに招待された。この騒ぎは年末の“アルメノンビジェ”の夜へと続く。



遥か彼方の年の暮れ:マダム・ジャネッティーに同伴された,ガルデルとロサーノ達は,ここの豪華な上階に用意された歓迎サロンに通され,キャバレーのマネジャー,ドン・パンチョ・タウレルとその他一同に手厚く接待された。リキュールのつまみと共にあの時代のフランス製純正シャンパンがふるまわれ,皆は二人の歌手を聴きたい欲亡に刺激されていたが,,,
ところが...なんだって,歌手達はギター無し!。マダム・ジャネッティーの随一のギターは誰かが隠し持っていたが,,,そりゃ,残念だ,ギター無しで聴く事できない!,とアルメノンビジェの経営者の横に居ながら,ドン・パンチョ・タウレルが叫ぶ。ここにギター二つあるが,,,と経営者の一人のロウレイロ氏がつぶやく。一つはここで出演したアルトゥーロ・デ・ナバとここの経営者のもう一人の巧みなギター奏者のランサベチィアの物を持ち出してきた。という経緯の後で,,,過ぎ去ったあの時,カルロス・ガルデルとホセ・ラサーノは二重に武装して歌い始める。最上の言葉で言えば;成功の初め!もう制止する事無く,永遠の成功の始まり!。あの時から開いたお伽話の夜の一筋の行みち,昔のキャバレー・レストラン・アルメノンビジェのあの光飾られた社交大広場の上方の開け広げられた窓辺からパレルモのマグノリアスの影とほのかな香り,良く調和した二つの声の歌唱が上階ホ-ル観覧席の外から舞い昇り始まった。ダンスホールの参列者間からうわさが流れ,-彼等を聴くのは光栄だ...。続いた回廊から聴きに,見に近づく人々,彼等はホルヘ・ニュウベリー(レーサー),ヒメネス・ラストラ(女優),リカルド・ギラルディス(小説家),他多数,,,。カルロスとホセは一休もせず。朝方明け過ぎに行くに従って,より良く歌うためにシャンペンを嗜めた。ラ・パストーラ,パンガレ,モーロ,ロ・ケ・フェからエル・セニュエロと歌い続けた...。上品な“人”は賛美するのに擦り寄らないが,お節介屋達はもう我慢できず,人垣に踊り入り乱れた...。上階では,キャバレーのマネジャーは歌手達の先取りの演技と客連達の熱狂を見落としてはいなかった。彼はロサーノに廊下に出るようにと合図を示した。不意をつかれたホセはそこへ行くと,“二人ともこの店に歌いに来ないかい?”,70ペソ払うぜ,このように突然,マネジャーの問いかけに仰天,ところが,ロサーノは月払い約束なら特に驚く事はないと思った。しかし,多分,なんらかの改善にむすびつけばと,考え直し答えた。なんと言うか同僚に相談してみる,,,。人垣に戻り,こっそりごく短い退場を促しながら,早急にガルデルへ耳打ち通報した。我々がここに歌いに来ないかと問われ,70ペソ払ってくれるとさ。エル・モローチョは月払いでは少ないな,,,と意見を述べる。半月払いかな?,良く分からん,はっきり問い合わせてくる。再びラサ-ノは人垣からすり抜ける。こうして,マネジャーはロサーノの返答を待ち。今度はキァバレーの二人の経営者のランサベッチアとロウレイロが一緒に居るのに出会った。ロサーノは心臓が波打ちするのを感じながら,彼の粗野な人生で最上の機会に賭け事をしている胸騒ぎを感じた。だから,この問題をはっきりさせてくれと?。この曖昧な質問で,その同じ重要な瞬間に口調は冷静になる。ロウレイロ氏が答え返して,ほら,友人よ。お前さん方達,下階ホールで毎夜事に,ここに歌いに来る決意をしなさいよ。70ベソ日払するから,その上に食事とアルコール付き,招待客の誰かが指名した時の報酬は貴方達の別収入だが,,,ロサーノはどうして気絶転倒しなかったか,自分自身に決して説明できなかった。

変な顔をした憶えがあるのだが。
回れ右をするとガルデルの脇に戻り,
お前!70は日払いだってよ!。
それに食事つき,,,その上,臨時は我々のもの...
この言葉をぶつぶつ言いながら,凄い仕事だと指摘した。
そりゃなんだ?ガルデルは襟を掴んで,
平手打ちでグラスをひっくり返した。
よく聞いたか?...うん...
エル・モローチョは立ち上がり,
動揺して,歌うだけじゃない!,
俺たち皿まで洗いに来るぜ!!。と...
脚を震わせながら,
エル・オリエンタルの腕を掴みながら絶んだ。
二人の友は興奮した上機嫌を表さない様に,
とてつもない努力に勤めたが,,,
しかしながら,とたんに二人で廊下に踊り出た。
マネジャーに出会いがしら,何時からデビューできると聞く?。
じゃー,明日の夜10時でどうかい!。
他の誰でも出来ないほど,
人生がもたらした成功と希望が交差するように,
ガルデルとロサーノが巡り合わせた,
あのアルメノビージェでのデビュー。
ロサーノはその前夜は寝られなかったという。
ガルデルはパレルモの森を彷徨酔い,
ケルビムの群れに囲まれ息切れをして,
生温かい風に愛撫されて,
地獄の辺土際で歌う悪夢の前夜を過ごしたといった。
キャバレー城の柱飾りに身を隠して,
70ペソ!!,70ペソ!!,と彼等は叫びながら...
そして,夜が忍び寄る。
そして,時が忍び寄る。
そして,運命の遊び手玉を空中に投げた。

追記:百年近く前の当時の70ペソの価値は分かりませんが、同夜出演したフィルポの報酬が一晩2ペソだったのだから,ガルデル達の報酬が並大抵ではなく良かったという事です。
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