2011年8月13日土曜日

ガルデルのCD-2(1~6曲)














ガルデル-ラサーノ二重唱はマックス・グルクスマーン商会“ナショナル-オデオン”で1917年4月9日にレコード録音を開始した。場所は今のカジャオ大通りとペロンの交差した所の近くでバテェ・フイルムの映画用フィルム倉庫であった。ここの持ち主はマックスの本名はモルデチァイ・ダビーデ・グルクスマーン(1875‐1946)でオーストリアから15歳の時に亜国に移民した。そして,後にオデオン・レーベルの代理店代表に伸し上がる人物である。

ガルデルのCD‐2(1~7曲):マックス・グルクッスマーン商会所持の“ナショナル‐オデオン”,“クリオージョ‐オデオン”,“ガルデル‐ラサーノ”レーベルのアクスティク(機械式)録音/ギター伴奏はホセ・ラサーノ,ホセ・“ネグロ”・リカルド/このCDも全曲フォルクローレで占められている


①:カンタール・エテルノ(永遠に歌う
副題:アマメ・ムーチョ(愛して)/カンシオン
歌:ガルデル‐ラサーノ二重唱
作者:アンへル・グレゴリオ・ビジョルド
まぎれも無くタンゴの発祥時代に大奨励した人物で,世界的大ヒットしたこの“タンゴ”を知らない人でもキスオブファイアとしての“エル・チョクロ”を知っているだろう。その作者がアンヘル・ビジョルド。彼の有名な曲には1903年作の“ポルテニート”から“エスキナッソ”,“ラ・カプリチョサ”,“ラ・モローチャ”,“ジュンタ・ブラバ”など,その他多大な数の作品がある。タンゴ発祥時代に活躍した下町のしがない音楽家であるが器用にギター,ハーモニカ,ピアノ,バイオリンまで弾きこなしたという。ガルデル-ラサーノも“タンゴの父”への何らかの尊敬の上に,この曲“カンタール・エテルノ”をとりあげたのだ。

Alla en la noche callada/静寂な夜のあの頃向に
para que se oiga major/更に聞こえ届け
amame mucho que asi amo yo/俺が愛する如く愛しておくれ
Alla en la noche callada/静寂な夜のあの頃に
para que se oiga major/更に聞こえ届け
amame mucho que asi amo yo/俺が愛する如く愛しておくれ

Canta el ruisenor su trino/三位一体の小夜なき鳥がさえずる
Ay si…ay no…/其れはいい...それはやだ...
Canta el ruisenor su trino/三位一体の小夜なき鳥がさえずる
Con melancolica voz,/メランコリーなさえずりで
Amame mucho que asi amo yo./俺が愛する如く愛しておくれ.
No creas que porque canto⋰歌う何故かと信じないかい
tenga el corazon alegre,/嬉しい心を保ちなさい
amame mucho que asi amo yo,/俺が愛する如く愛しておくれ.


②:エントレ・コローレス(艶色の狭間で)/シフラ
歌:ホセ・ラサーノ/
作者:ホセ・ラサーノ,
彼がガルデルとの出会いの夜に披露した曲。

Entre colores de grana/深紅色がかり
rey del espacio celeste/空色のあいだの王様
el sol se asoma en el este/東方にのぞく太陽
con majesstad soberana/きだかき君主

Ya la golondrina ufana/いまや,ほこらしげのツバメ 
emprende su aereo viaje/空の旅へとびだし
y a jugar con el oleaje/そして,大波に弄ぶ
bajo aquel cielo sin bruma/霧なきあの空の下
en lo blanco de su espuma/白きあわにて
tiende su negro plumaje/黒い羽衣をのばす.

③:エル・ソル・デル・25(ベイティシンコの太陽)/ガト/
歌:ガルデル‐ラサーノ二重唱
作詞:ドミンゴ・ロンバルディー
作曲:ガルデル‐ラサーノとあるが原作者はサンティアゴ・ローカである
25とは1810年5月25日の日付け,即ちその日は革命の日だと言う。それに元づいた記念的な歌,クリオージィスト(生粋主義者)の集まる“エル・フォゴン(かまど)”なる場所でロンバルディーとローカにより作られた。

Ya el sol del veinticinco/25日の太陽はすでに
viene asomando ,/覗きくる,
ya el sol del veinticinco/25日の太陽はすでに
viene asomando/覗きくる
y su luz en el Plata/銀色の光と
va reflejando,/すでにかえり輝き
y su luz en el Plata/銀色の光と
va reflejando./かえり輝きながら

(recitado)語り
Oido?.ya lo anuncia la voz del canon,/聴いたか?大砲の轟きを
icemos a tope nuestro pabellon/われ等の国旗を高々に掲げよう
y las campanas/それに鐘々も
mezclan sus alborotos/かの怒号が混ざりこみ
al de las dianas/起床ラッパとともに.

“Viva la patria!” se oye/等々力の“祖国バンザイ”
y el clamoreo,/それと沸き上がり歓声,
hace dentrar en la sangre/血が燃えたぎる
cierto hormigueo,/多勢の群集
hace dentrar en la sangre/血を燃えたぎさせる
cierto hormigueo./多勢の群集

④:ア・ミ・モローチャ/エスティーロ
(アンヘル・ビジョルドの同名曲のタンゴと間違わない様に)
歌:ホセ・ラサーノ
作詞:ホセ・ラサーノ
作曲:カルロス・ガルデル

Sos la moza gentil/あなたは魅力的な美人
elegante de pintar;/エレガンスな化粧
la de labios coloraos/紅色ずけた口もと
como pimpollo de abril;/4月の蕾みの様に
la que ha sido en el pensil/エレガンスな佇まい
envidia de los colores;/羨望の色彩深く
la que ha nacido entre flores/花々に埋まれて生まれでる
y se ha arrullao con la luna./月と共に甘くささやく
te has dao por milar la cuna/ゆりかごへ眼差しを捧げ
del alma de mis amores./我が愛の命

Yo te mire en los juncales/しなやかさを見つめて
y al mirarte, tus ojazos,/眼差しを,貴女の瞳を
lampa de mi buey “chispazos”,/我が牛“ひらめき”の熱望
como rayos infernales,/地獄の閃光のように
y esas son las senales/それはまえふれ
de no se que maravilla/すばらしさ知らずして
pues en la forja, “la orilla”,/それは耐える事,“そよ風”,
al verte cruzar paloma,/覇とが横切る身と遂げて
florecieron en la loma/丘は花ざかり
hasta el cardo y la gramilla./スズメノヒエとアザミまで
pensil:pendiente/ojardin colgante y hermoso/エルガンス

⑤:ブリサス(そよ風)/カンシオン
歌:ガルデル-ラサーノ
原作:ホセ・マルモルのブリサス・デ・ラ・タルデと同曲(CD‐1;11曲目と同じ)
歌詞は前編を参照ください

⑥:エル・パンガレ(敏速な淡色毛並みの馬)/エスティーロ
歌:カルロス・ガルデル
作者:カルロス・ガルデル
原作はアルシデス・デ・マリア著書“カント・トラディショナル(伝統歌)”の登場人物の若死にしたウルグアイ人歌手,イグナシオ・リベロール(通称フアン・ホセ)をテーマにしたモチーフをもとにしている

En un pingo pangare,/バンガレ馬にまたがり
flete guapo coscojero,/洒落た悪賢い駿馬,
buen herraje, lindo opero,/上質な銀かざり,美しいしぐさ,
en direccion a Pigue,/ピゲーに向かい,
va el paisano Cruz Montiel./同郷のクルス・モンティルと行く.
orillando una canada,/小川沿いに,
con camisa bien planchada,/折り目正しき着飾りで,
un clavel rojo retinto,/一輪の赤褐色のカーネション,
punal de plata en el cinto/銀の刃刺しを腰にため
y bota fuerte lustrada./磨き上げ強烈なブーツ.

Voy en busca de un lucero/明星探しに出かけ行く
a quien le ha tendido el ala/何者も気力を引き締め
y llevo el clavel por gala/カーネーションを晴れがましく
en la cinta del sombrero…/帽子のリボンに...

Yo soy un criollo altanero/俺は尊大なクリオージョ
cuando de mi honor se trata/わが名誉あつかいする時
el valor se desbarata/そこなわれぬ勇気
ante el mas minimo antojo/より少ない気紛れの前で
y el punal de aquellos ojos/あの瞳の一さし
con que mi prenda me mata./我が装飾着が苦しめる

馬上操り詩想にくれてパンパ平原を行く。
あたかもガルデルが少年期に故郷タクアレンボー地方のパンパを放浪していた時の叙景を彷彿させる。彼は少年期から巧みな馬使いを心得ていて,乗合馬車の御者も勤めていた。

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