2012年5月10日木曜日

蓄音機で聴くガルデル



ガルデルは“ビトローラ”で聞くのが最適だ!!


ビトローラ(ビクトローラ)とは古い蓄音機の事である。今更最先端のCDプレーヤーで最新録音を聞く時代に今更SPレコードなどを引っ張り出す事もあるまいと思うのだが...。ましてガルデルのSPレコード盤などは入手も聴くのも至極く困難な時代なってしまった今日この頃である。これらの録音を名機“クレデンザ”と名の付く古い蓄音機で聞くと“生のガルデル”の歌が迫って来るらしい。らしいと書くのは小生は残念ながら“クレデンザ”なる蓄音機の本物を見た事も聴いた事も無いからだ。レコード盤に蝋管の先に鉄針をそっとのせると朝顔に似た大きなラッパからかなりの音量の音楽や歌が聞こえてくる。と幼年の頃簡単な蓄音機を聴いた記憶がよみ返って来たが。ところで今,古い蓄音機と数枚のガルデルのレコードが手元にあるとしよう。しかし,この装置を聴くには然るべき神聖な準備と儀式がいる。先ず蓄音機のゼンマイをハンドルで巻き上げ,レコード針の調整をした上に。そこで慎重にレコードに針をそっとおとしてみると想像しうる喪失とひずみ音とスクラッチから聞こえてくるあの当時其のままの“ガルデル”が浮かび出てくる。「ガルデルは蓄音機で聴くべきだ」とただちに納得するだろう。それはアコースティック録音特有の自然その物に再生された音がかもし出されてくるからだ。ガルデル初期の年代の舞台からラサーノとドゥオで,また,古い屋敷のサグアンから登場する様に“ラ・コルドベセサ”,懐かしの“ミ・ティエーラ(我が故郷)”,と滑稽な“エル・サポ・イ・ラ・コマドレハ(蛙とイタチ)”の歌々。そしてギターのバチバチとした金属音を従えて強くひねりに満ちた独唱がラッパに映える。ある夏の宵のマテの一時に聞こえてくるラジオからのカルデルの快い歌声に思いを映えらせ...“ミ・ノーチェ・トリステ”,“マノ・ア・マノ”,“カミニート”を初めにアコースティックの響きが部屋に広がる...,その声は彼の栄光に一致するものだ。そして今でもガルデルが恰も生き帰り歌っている様な幻想の世界に引き込まれるだろう。

注記:サグアンとはブエノスの邸宅の玄間入り口の石たたみ通路に石作りの噴水があったりする。テレビのタンゴ番組の舞台の背景に出てくる。

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3 件のコメント:

ビジネス会話のマナー さんのコメント...

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

El Bohemio さんのコメント...

コメントありがとう御座います。
貴ブログの内容もすばらしいですね。参考にさせてください。ガルデル物語では色々と情報の選択に苦労していますが...できるだけ頑張るつもりです。今後もよろしく!

El Bohemio さんのコメント...

GちょこMarble-GENさん:
メンバー登録ありがとう!
今後もよろしく...