タンゴ「エボカシオン」
エボカシォンとは回想と訳すのだが.
若き日の苦き失恋の回想。
...
エボカシォンとは回想と訳すのだが.
若き日の苦き失恋の回想。
...
暖炉の炎のゆれと共に思い出した痛恨。
それを生々しく回想したタンゴ“エボカシオン”。
EVOCACION(回想)
La lama alientas en la chimenea /暖炉に鼓舞する金糸
y el crepitar de leÑas encendidas /火がついた薪がバチバチと音をたて
me atormentan con llagas de fuego /達する炎が俺を苦しめる
reabren en mi alma, hondas heridas /傷深く,わが心のなか再びあける
a llama loca corre y piruetea / 狂った炎は駆け回り,飛び跳ねる
y en el delirio de la noche oscura /そして,くらい夜の妄想に
reviven aÑos de intense amargura /強めた悲嘆は年々よみがえる
que triste me acompaÑan en mi soledad /わが孤独に付きまわる悲しみ
Crepitan las leÑas, revive el pasado /過去が蘇えり,懲らしめがバチバチと音立てる
del fondo del tiempo como una vision /幻のような時の深みへ
y me trae el viejo perfume aÑorado /郷愁のふるき香りをもたらす
de la que fue un dia mi sola ilusion /影のみのわがある日がすぎ
crujen las leÑas, la llama agonize /きえうせかける炎,焚きつけが泣きわめく
mis manos persiguen aquella vision /幻のあれがわが腕を追う
en vano se alargan, no hay mas que cenizas /灰のみ残り,延びた空虚に
ceniza en las leÑas y en mi corazon/わが心にはまきの灰
Leve la estrella de tus claros ojos /きみのさわやかな瞳の輝やぎ微か
diafana luz de sempiterna andanza /旅の永遠の光は曇りなく
que en las rutas de mis aÑos mozos /わが若き年の道筋に
fue mi suspiro, fue mi esperanza /わがのぞみ,わがためいき過ぎて
ahora mi senda llena esta de abrojos /我の行く道は茨満ちた今
mi vida mustia ya no tiene llantos /もう涙撒かれて萎れるわが人生
y el corazon zozobra de quebrantos /そして,衰えの不安心
de verme indigno de tu inefable virtud /言葉絶する高潔な貴女の相応しからぬ眼差し
このタンゴはガルデルがビクターに最後の録音をした後に現われた曲で,彼はレコード録音しなかった。いや,ニューヨークに戻れぬ不可抗力により歌えなかったタンゴである。作詞は当然,アルフレッド・レペラ,作曲はカルロス・ガルデルでテリグ・トゥチィが協力参加している。この曲は1960年タンゴ歌手のアルベルト・バルディがロペス・バレート等とニューヨークを訪問した際にコロンビア・ブロードキャスティングのディレクターであったピアニストのマエストロ・テリグ・トゥチィに巡り会ったのだが,その時彼曰く「これは我々の幼稚な考えだが聴くに値する。この楽譜はバレートに託すのが相応しいと俺は確信するが,ガルデルもこうあって欲しいと思ったに違いない。」とそのタンゴの楽譜をラファエル・ブロウンに見せた。彼ブロウンは“この死後の作品”は本物かどうか疑わしいと考えた。ロペス・バレートはアルフレッド・レペラの弟ホセに聞けばと助言してくれたので,彼ホセに訊ねた所,彼は確かに兄とカルロスは何らかの作品の試案を持っていたらしいと言う答えであった。このタンゴ“レコルダンド(思い出す)”或いは“エボカシオン”は流布されていないと思われたがアグスティン・イルスタの歌う“エボカシオン”のタイトルの録音がデッカ・レベールに存在するのが判明している。
それを生々しく回想したタンゴ“エボカシオン”。
EVOCACION(回想)
La lama alientas en la chimenea /暖炉に鼓舞する金糸
y el crepitar de leÑas encendidas /火がついた薪がバチバチと音をたて
me atormentan con llagas de fuego /達する炎が俺を苦しめる
reabren en mi alma, hondas heridas /傷深く,わが心のなか再びあける
a llama loca corre y piruetea / 狂った炎は駆け回り,飛び跳ねる
y en el delirio de la noche oscura /そして,くらい夜の妄想に
reviven aÑos de intense amargura /強めた悲嘆は年々よみがえる
que triste me acompaÑan en mi soledad /わが孤独に付きまわる悲しみ
Crepitan las leÑas, revive el pasado /過去が蘇えり,懲らしめがバチバチと音立てる
del fondo del tiempo como una vision /幻のような時の深みへ
y me trae el viejo perfume aÑorado /郷愁のふるき香りをもたらす
de la que fue un dia mi sola ilusion /影のみのわがある日がすぎ
crujen las leÑas, la llama agonize /きえうせかける炎,焚きつけが泣きわめく
mis manos persiguen aquella vision /幻のあれがわが腕を追う
en vano se alargan, no hay mas que cenizas /灰のみ残り,延びた空虚に
ceniza en las leÑas y en mi corazon/わが心にはまきの灰
Leve la estrella de tus claros ojos /きみのさわやかな瞳の輝やぎ微か
diafana luz de sempiterna andanza /旅の永遠の光は曇りなく
que en las rutas de mis aÑos mozos /わが若き年の道筋に
fue mi suspiro, fue mi esperanza /わがのぞみ,わがためいき過ぎて
ahora mi senda llena esta de abrojos /我の行く道は茨満ちた今
mi vida mustia ya no tiene llantos /もう涙撒かれて萎れるわが人生
y el corazon zozobra de quebrantos /そして,衰えの不安心
de verme indigno de tu inefable virtud /言葉絶する高潔な貴女の相応しからぬ眼差し
このタンゴはガルデルがビクターに最後の録音をした後に現われた曲で,彼はレコード録音しなかった。いや,ニューヨークに戻れぬ不可抗力により歌えなかったタンゴである。作詞は当然,アルフレッド・レペラ,作曲はカルロス・ガルデルでテリグ・トゥチィが協力参加している。この曲は1960年タンゴ歌手のアルベルト・バルディがロペス・バレート等とニューヨークを訪問した際にコロンビア・ブロードキャスティングのディレクターであったピアニストのマエストロ・テリグ・トゥチィに巡り会ったのだが,その時彼曰く「これは我々の幼稚な考えだが聴くに値する。この楽譜はバレートに託すのが相応しいと俺は確信するが,ガルデルもこうあって欲しいと思ったに違いない。」とそのタンゴの楽譜をラファエル・ブロウンに見せた。彼ブロウンは“この死後の作品”は本物かどうか疑わしいと考えた。ロペス・バレートはアルフレッド・レペラの弟ホセに聞けばと助言してくれたので,彼ホセに訊ねた所,彼は確かに兄とカルロスは何らかの作品の試案を持っていたらしいと言う答えであった。このタンゴ“レコルダンド(思い出す)”或いは“エボカシオン”は流布されていないと思われたがアグスティン・イルスタの歌う“エボカシオン”のタイトルの録音がデッカ・レベールに存在するのが判明している。