時は1935年6月23日深夜のボゴタ:
カルロス・ガルデル一行はコロンビア諸都市のバランキージャ、カルタヘナ、メデジン、ボゴタ公演を盛況な成功を飾り、その夜コロンビア映画会社社主二コラス・ディアスの招待による晩餐会のフレンチ料理のメインデッシュが終り、給仕が皿を片ずけ初め、最後のワインを支度し始めているほんの一瞬の出来事。
ニコラス・ディアスはそこに現れた少女にとっさに注意をはらった。彼女は香水の香りも身なりも垢抜けているわけでもない極質祖な容姿でガルデルの関心を引くにはほど遠かった。その神経質そうな様子は不帰知な予告すらした。興行師は近ずきながら彼女に向かい、
「お嬢さんすみませんが私的な会合なんですよ」
「旦那さん、貴方はお解かりじゃない、彼と話がしたいんです。
早急に言ずけしたいんですよ。お願い...」
早急に言ずけしたいんですよ。お願い...」
ディアスが一瞬、躊躇した隙に彼女は脇をすり抜けガルデルがおいでと手振りするテーブルに近ずく瞬間に数人の同席人が遮るように引きとめた。
「お嬢さん、ご用件は?」とガルデルは丁寧に訊ねる。
「ガルデルさん、それは危険なんですよ! 旅立ちは控えて。」
「お嬢さん、心配下さるな、我々は旅馴れしているんです。」とガルデルは答えた。
「貴方はお分かりしてい無い。涙声で“貴方はあの飛行機には乗ってはいけません!”
私は貴方を助けに来たのよ」と、乙女は手こずらせる。
私は貴方を助けに来たのよ」と、乙女は手こずらせる。
ガルデルはこんな事には慣れていた。他の国でもあつたことだから、(旅立ちの時前に災難を予告する新聞記事を見せられるなど)そして、その乙女に向かい邪魔者を追い払うようにいくばくかの札を感謝の気持として手渡そうとしたが、むっとした彼女に阻まれてしまう。そこへボーイが丁寧に出口まで送りだした。
.=遥か方なたのある夜の些細な出来事の後、何事も無かった如くガルデル一行はカジノに繰り出しトランプ賭けに没等した。その為に全員が朝寝坊してしまう有様。慌ててテチョ飛行場に駆けつけるが予定のカリ行き飛行は霧の発生で断念するとパイロットに告げられる。そして目的地をメデジンに変えざえられなくなったのだ。この進路変更が魔の事故に繫がる原因になるとは誰も知る由も無く…。
注記:(A PASIÓN SEGÚN GARDEL por Julian Barsky)による。
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